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カメラ 今だからこそ手に入れたい一眼レフ。視野率約100%モデルで撮影を楽しもう!

一眼レフカメラからミラー構造を取り除いたミラーレスカメラは、よりコンパクトなシステムで高画質かつ多彩な撮影を楽しめるのが魅力。AFや連写などの性能も高く、「一眼カメラを買い替えるならデジタル一眼レフよりもミラーレスのほうがいい」という意見の人が多いことだろう。確かに、今、メインの一眼カメラとして手に入れるのなら、高性能なミラーレスは間違いのない選択だ。ただ、一眼レフには、ミラーレスでは得られない魅力がある。それは、「レンズ越しの景色を光学ファインダーで見ながらシャッターを切る」という、想像力を働かせた撮影ができること。ミラーレスが全盛となった今だからこそ、デジタル一眼レフが1台あれば、より充実したカメラライフが送れるのではないだろうか。本特集では、改めて一眼レフの特徴と魅力を解説し、視野率100%の光学ファインダーを搭載する高性能なデジタル一眼レフをいくつか紹介しよう。

一眼レフは、想像力を生かした写真撮影を楽しむのにもってこいのカメラ。本特集では、今購入できる高性能なデジタル一眼レフをピックアップした

一眼レフは、想像力を生かした写真撮影を楽しむのにもってこいのカメラ。本特集では、今購入できる高性能なデジタル一眼レフをピックアップした

最大の魅力は光学ファインダーにあり。カメラをしっかりとホールドできるのも特徴

一眼レフの歴史は長い。起源となるものは今から100年以上前に、35mmフィルムを採用するものは90年近く前に開発されている。今の電子制御技術のベースとなるものが登場したのは1960年代に入ってからで、1960~1980年代にかけて、日本国内のカメラメーカーが自動露出やAFなどの革新的な技術をいくつも実用化し、一眼レフの性能は大きく向上した。技術革新とあわせて低価格化も進み、この時代に、国内メーカーの一眼レフが世界のカメラ市場を席巻するようになる。その後、撮像素子(イメージセンサー)を搭載するデジタル一眼レフが誕生し、その人気は2000年代にピークを迎える。最近は、ミラーレスの登場によって、リコーイメージング以外のメーカーからは一眼レフの新モデルが2年近くリリースされない状況になっているものの、長年にわたって多くのメーカーが技術を磨いてきた一眼レフはカメラとしての完成度が非常に高く、根強い人気を誇っている。

一眼レフの最大の魅力は、何といっても光学ファインダーにある。一眼レフは、ミラーとペンタプリズム(もしくはペンタミラー)を使ってレンズからの光をファインダーに届ける仕組みになっていて、レンズを通った像をそのまま見ることができるのが特徴。レンズ越しの景色を見ながらの撮影になるため、電子的なライブビュー映像を表示するミラーレスとは違い、シャッターを切るまで撮影結果はわからない。使いやすさでは、明るさや色の仕上がり具合を確認しながら撮れるミラーレスが上回るものの、一眼レフは、景色を見ながら想像力を働かせて、「どういった写真に仕上がるのか(仕上げたいのか)を考えながら、カメラを操作してシャッターを切る」という写真撮影を楽しめる。これが一眼レフの最も面白いところだ。

一眼レフで撮影する醍醐味は光学ファインダーにある。レンズ越しの景色を見ながらシャッターを切るという撮影体験は他では得られない(画像はリコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III」)

一眼レフで撮影する醍醐味は光学ファインダーにある。レンズ越しの景色を見ながらシャッターを切るという撮影体験はほかでは得られない(画像はリコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III」)

一眼レフで撮影した作例(リコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III」を使用)

一眼レフで撮影した作例(リコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III」を使用)

一眼レフで撮影した作例(リコーイメージング「PENTAX K-1 Mark II」を使用)

一眼レフで撮影した作例(リコーイメージング「PENTAX K-1 Mark II」を使用)

加えて、一眼レフは、カメラをしっかりとホールドして撮れるのも特徴だ。ミラーや光学ファインダーを搭載するため、ミラーレスと比べると、どうしても大柄のボディになるが、その分、グリップは大きくて深い形状になっている。望遠レンズなど大きなレンズを装着した際に、より安定した構えで撮影することが可能だ。

一眼レフのグリップは大きくて深い形状のものが多い。ホールディング性にすぐれ、しっかりと握ることができる(画像はリコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III」)

一眼レフのグリップは大きくて深い形状のものが多い。ホールディング性にすぐれ、しっかりと握ることができる(画像はリコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III」)

一眼レフで撮影した作例(キヤノン「EOS 90D」を使用)

一眼レフで撮影した作例(キヤノン「EOS 90D」を使用)

一眼レフで撮影した作例(ニコン「D850」を使用)

一眼レフで撮影した作例(ニコン「D850」を使用)

今、デジタル一眼レフを選ぶうえでの注意点

レンズ越しの景色が見られる光学ファインダーや、しっかりとした形状のグリップに魅力があるデジタル一眼レフだが、購入するうえでは、いくつか事前に知っておきたい点がある。

まず、押さえておきたいのが、今後の発展性だ。現状、デジタル一眼レフを継続して開発・販売していくことを明言しているのはリコーイメージングのみで、他メーカーはミラーレスに舵を切るようになっている。具体的には、キヤノンとニコンは2年近く一眼レフの新モデルをリリースしておらず、今後この2大メーカーがデジタル一眼レフを主力に戻すのは考えにくい状況だ。キヤノンとニコンの一眼レフについては、残念ではあるが、今後の展開には期待できない。現行モデルを「最後のデジタル一眼レフ」と捉えて購入を検討したほうがいいだろう。

また、AFや連写などの基本性能に対しても、あまり期待値を高く持たないほうがいい。デジタル一眼レフの光学ファインダー撮影では、最新のミラーレスのように「高度な被写体検出AFと高速連写で被写体の一瞬の動きをカメラまかせで簡単に撮れる」というわけではない。ただ、中上級機であれば、十分な追従性を持つAFシステムと10コマ/秒前後の連写性能が備わっているので、必要十分と言える。撮影者の技術と工夫で撮ることを楽しむカメラとして選んでほしい。

画質についても、デジタル一眼レフは、最新のミラーレスと比べて不利なところがある。フランジバックが短く、レンズの設計自由度が高いミラーレスのほうが、レンズの光学性能が高く、特に周辺部の画質で差が出やすい。一眼レフでも十分に高画質な撮影は行えるものの、見比べるとミラーレスで撮ったもののほうが高画質だと感じるのが正直なところだ。また、動画撮影機能も、最新のミラーレスと比べて差があることも知っておきたい点である。

こうした点を踏まえると、高性能なミラーレスが続々と登場するようになった今、デジタル一眼レフは性能や画質を優先して選ぶものではなく、「光学ファインダーでの写真撮影を楽しむカメラ」になっていると言えよう。

視野率100%ファインダーを搭載するデジタル一眼レフ

続いて、2022年5月時点で購入できるデジタル一眼レフの中から、ユーザー評価の高いモデルをいくつか紹介しよう。セレクトしたのは、ファインダーで見ている範囲の景色がほぼそのまま記録される、視野率約100%の光学ファインダーを搭載するもの。いずれのモデルも、視野率だけでなくファインダーの見えにもこだわっており、心地よいファインダー撮影が可能となっている。

一眼レフの魅力を徹底追求した最新モデル
リコーイメージング「PENTAX K-3 Mark III」

PENTAX K-3 Mark III

PENTAX K-3 Mark III

2021年4月に発売になった、「PENTAX」ブランドの最新モデル。101点測距(25点クロスタイプ)のAFシステムや最高約12コマ/秒の高速連写、ボディ内5軸手ブレ補正など基本性能の高さでも目を見張るものがあるが、それ以上に注目したいのが一眼レフとしての完成度の高さ。特に、光学ファインダーのクオリティの高さは、APS-Cサイズの撮像素子(APS-Cセンサー)を搭載する一眼レフとして最高レベルと言っても過言ではない。フルサイズ一眼レフ「K-1 Mark II」と同等となる倍率1.05倍(35mm判換算0.7倍)のペンタプリズムファインダーを搭載し、周辺まで明るくてクリアな見えを実現している。ミラーやシャッターの駆動制御系を一新し、キレのあるシャッターフィーリングを実現しているのも見逃せないポイントだ。

性能と価格のバランスにすぐれた高画素センサー搭載モデル
キヤノン「EOS 90D」

EOS 90D

EOS 90D

キヤノンの一眼カメラは2022年5月現在、フルサイズ一眼レフ「EOS-1D X Mark III」がフラッグシップモデルとなっている。ただ、ラインアップの軸はミラーレスに移行しており、一眼レフは徐々にモデル数が減ってきている。その中で、性能と価格のバランスのよさで注目したいのが、APS-Cセンサー搭載の中級一眼レフ「EOS 90D」だ。APS-C機としては高画素になる有効約3250万画素センサーを採用しながらも、上位モデルの「EOS 7D Mark II」と同等となる最高約10コマ/秒の連写速度を実現。AFはオールクロス仕様の45点測距システムだ。「EOSシリーズ」の中上位機が搭載する独立型のマルチコントローラーを備えるなど、操作性も上位モデルゆずりとなっている。

十分な性能を搭載した高コストパフォーマンスな中級機
ニコン「D7500」

D7500

D7500

ニコンは、2021年12月発売のフルサイズミラーレス「Z 9」でフラッグシップモデルを一眼レフからミラーレスに置き換えており、一眼カメラのラインアップはミラーレスが中心となっている。2022年5月現在、一眼レフは、従来のフラッグシップ機「D6」など4機種が現行モデルとして販売されていて、その中で唯一のDXフォーマット機(APS-Cセンサーを採用するモデル)となるのが、中級者向けの「D7500」だ。上位モデル「D500」と同じ撮像素子と画像処理エンジン「EXPEED 5」を採用するほか、51点測距(15点クロスタイプ)のAFシステムや最高約8コマ/秒の連写速度など十分な性能を搭載。ニコンらしい光学ファインダーの見えのよさ、操作フィーリングのよさを味わえる、コストパフォーマンスにすぐれる1台だ。

PENTAXらしい絵作りを追求したフルサイズ一眼レフ
リコーイメージング「PENTAX K-1 Mark II」

PENTAX K-1 Mark II

PENTAX K-1 Mark II

35mmフルサイズの撮像素子を採用する、「PENTAX」デジタル一眼レフのフラッグシップモデル。高画質と良質な操作性で人気を集めた「PENTAX K-1」(2016年4月発売)の後継機で、新たにアクセラレーターユニットを搭載することで、さらなる高画質を実現。画像処理パラメーターを全面的に見直し、特に「深い青」や「生き生きとした緑」の再現性を高めた「PENTAX」ならではの絵作りを追求しているのも特徴だ。機能面では、手ブレ補正ユニットを活用する高解像画像生成技術が「リアル・レゾリューション・システムII」に進化し、手持ち撮影でも使用可能に。AF性能やバッテリー性能なども向上し、より完成度の高いフルサイズ機に仕上がっている。

ハイアマチュア向けフルサイズ一眼レフの最終形
キヤノン「EOS 5D Mark IV」

EOS 5D Mark IV

EOS 5D Mark IV

ハイアマチュア向けのフルサイズ一眼レフの代名詞的存在である「EOS 5Dシリーズ」の4世代目。2016年9月発売のモデルで、最新のフルサイズミラーレスほどのハイスペックではないものの、有効約3040万画素センサーや61点測距AFシステム(最大41点でクロス測距が可能)など基本性能は申し分ない。機能面でも、ミラーレス「EOS Rシリーズ」の最新モデルと同様、撮影時に「デジタルレンズオプティマイザ」を実行できるようになっており、高画質なJEPG撮影が可能だ。本機種は、「EOS 5Dシリーズ」の(おそらく)最終形。「快適な撮影」にこだわるキヤノンの一眼レフのよさを存分に楽しめるカメラとなっている。

高画質・高性能を実現したフルサイズ一眼レフの名機
ニコン「D850」

D850

D850

FXフォーマット(35mmフルサイズ)の有効4575万画素・裏面照射型CMOSセンサーを採用する、ハイエンド向けのフルサイズデジタル一眼レフ。153点測距(99点クロスタイプ)の高性能なAFシステムや、上質な操作性など、ニコンらしい堅実な一眼レフとして、2017年9月の発売から5年近くがたった今でも、多くのニコンファンから支持されている名機だ。さすがに、画質についてはミラーレス「Zシリーズ」のほうが上回る部分があるものの、デジタル一眼レフとしてはいまだに最高画質を誇る1台である。後継機に期待したいところだが、ニコンは一眼カメラのラインアップをミラーレスにシフトしており、登場するかどうかは未知数。購入できるうちに手に入れておきたいカメラだ。

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