ハイアールが、日本市場向けにイチから設計した全自動洗濯機「XD」シリーズ3機種を発表。日本で人気が高い液体洗剤・柔軟剤自動投入機能や清潔機能など、“あるとうれしい機能”を盛り込みつつ価格を抑えています。そのなかでも、10kgタイプにのみ搭載されている洗濯槽を“物理的”にこすり洗いする自動槽洗浄は、清潔さを重視する人には注目の機能。発表会で見てきた詳細を紹介します。
ボールで洗濯槽をこすり洗いする「スクラブ自動槽洗浄」
まず、洗濯・脱水容量10kgの「JW-XD100A」にのみ搭載されている「スクラブ自動槽洗浄」を紹介しましょう。
「JW-XD100A」のスケルトンモデル。青いボールが槽洗浄時に効果を発揮します
いくら洗濯物の汚れを落とす性能が高くても内槽外側や外槽内側にカビが発生していると、そのカビで洗濯物が汚れる恐れがあるため、多くの洗濯機が、カビが繁殖しにくいステンレス槽を採用したり、洗濯後に強い水流で洗濯槽を自動で洗浄する機能を搭載したりするなどで対策しています。「JW-XD100A」もステンレス槽と自動槽洗浄機能を搭載していますが、自動槽洗浄に新しい手法で汚れを落とす「スクラブ自動槽洗浄」を採用したのがポイント。ゴムのような素材の小さな「スクラビングボール」が洗濯のたびに内槽外側と外槽内側に付着した洗剤カスや柔軟剤をこすり落とし、カビの発生を抑制します。
「スクラブ自動槽洗浄」のイメージ図。洗濯またはすすぎを実行すると内槽と外槽の間に現れ、洗濯槽の汚れを落とします
給水が始まると、格納BOXから「スクラビングボール」が内槽と外槽の間に浮上し、洗濯・すすぎ工程の水流にのって内槽外側や底、外槽内側に付着した洗剤カスをこすり落とします。シャワーの水流をかけながら、スポンジでゴシゴシこすって汚れを取るイメージ。そして、格納BOX部に排水口があるので、排水工程で汚れと水が排出されるのと一緒に「スクラビングボール」も格納BOXに戻るのが「スクラブ自動槽洗浄」の仕組みです。
上にある「スクラブ自動槽洗浄」のイメージ図(2)では、「スクラビングボール」がランダムに動いているように見えますが、「スクラビングボール」は水に浮くため、実際は下の動画のように水位に沿って回転し、洗濯槽の汚れにアタックします。低水位時は下のほう、高水位・高速回転時は上のほうを洗浄するので、洗濯槽の上部から底までまんべんなく洗えるそう。
「スクラビングボール」は弾力があり、表面がザラッとしています。交換は不要で、洗濯機の標準的な使用期間(寿命)である7年間は性能が落ちないことを確認しているとのこと
残念ながら発表会では「スクラブ自動槽洗浄」の効果を示す展示はありませんでしたが、洗濯中、内槽の外側に「スクラビングボール」が勢いよく槽にぶつかっているのが確認できました。物理的に汚れを落とすというのは、面白いアイデアだと思います。
なお、「スクラブ自動槽洗浄」を搭載していない「JW-XD90A」(9kgタイプ)と「JW-XD80A」(8kgタイプ)には、自動槽洗浄機能は搭載されていません。手動でコースを選んで実行する必要がありますが、洗濯槽クリーナーなどを入れて数時間つけ置きする槽洗浄のほか、空の状態の洗濯槽を約2分間水で洗う「ちょっと槽洗浄」機能が用意されています。
このほか、パルセーターも10kgタイプのみ裏側の凹凸が少ない構造を採用しています。本体サイズ、基本的な構造や機能は3機種共通なので、価格が許容範囲なら清潔性能の高い10kgを選ぶほうが快適に使えるかもしれません。
容量は異なりますが、3機種すべて本体サイズは590(幅)×593(奧行)×1,050(高さ)mm。市場想定価格は10kgタイプが10万円前後(税込)、9kgタイプが9万円前後(税込)、8kgタイプが8万円前後(税込)で、2024年10月中旬発売予定
写真右が10kgタイプのパルセーター。8kgタイプと9kgタイプのパルセーター(写真左)と比べ、底部の凹凸が少ないので汚れが溜まりにくそう
便利な機能が盛りだくさん
「XD」シリーズには、日本で人気が高い便利な機能がふんだんに搭載されています。そのひとつが、液体洗剤・柔軟剤自動投入機能。専用のタンクに液体洗剤と柔軟剤を入れておけば、洗濯物の量に合わせた最適量を必要なタイミングで投入してくれます。
洗濯のたびに計量して入れる手間がないほか、洗剤や柔軟剤の過不足が防げます。タンクの容量はどちらも詰め替え用パウチ1本分が入る約560mL
タンクは取り外して丸洗い可能
自動投入機能で使用するものとは別の液体洗剤や柔軟剤を使えるように、手動用のケースも備えています
ふたの一部にガラスを配置しているので、液体洗剤・柔軟剤自動投入のタンク残量が確認できるほか、洗濯の様子もチェックできます
運転コースは比較的シンプルですが、脱水後に洗濯物のからみをほぐして取り出しやすくする「ほぐし仕上げ」や脱水の時間と回転数を調整して洗濯物のシワを抑える「しわケア脱水」、短時間で汚れを落とす「お急ぎコース」など、日本の洗濯機では標準的な機能を搭載しています。
また、ベルトを使わずモーターと洗濯槽を直結させる「DDインバーターモーター」を採用しているので、運転音や振動が小さく、必要なパワーだけ動かせるため消費電力も抑えられます。運転音は3機種とも洗濯時が38dBで、脱水時が39dB。消費電力量は10kgタイプが51Wh、9kgタイプが49Wh、8kgタイプが48Whで、10kgタイプと9kgタイプはトップクラスの省エネ性能だそうです。
高濃度洗剤で汚れ落ちもしっかり
洗濯方法に関しては、高濃度の洗浄液を浸透させてから、らせん状の水流で洗う「高濃度スパイラル洗浄EX」を採用しています。
最初に少ない水量で高濃度の洗剤液を作って洗濯物に洗剤を浸透させ、次に、設定水位よりも低い水位まで水を供給して洗濯。その後、設定水位まで水を入れ、パルセーターが生み出す強力ならせん状の水流でかくはんしながら、槽内側の凹凸でもみ洗いします(下の動画参照)。
槽側面にあるチェッカードパターンの凹凸が衣類のもみ洗いとムラの少ない脱水をサポート
段階的に水量を増やして洗濯することにより、洗剤の性能をしっかり引き出し、洗濯物の繊維の隅々まで洗剤を浸透させてから通常の洗濯を始められるため、皮脂汚れや食べこぼしなどの落ちにくい汚れに強い洗浄力を発揮。また、衣類を外から内に引き込むように動かすことで、衣類の傷みも抑えます。
このほか、パルセーターに配置した「除菌キャップ」から水に溶け出した成分が洗濯物を除菌し、生乾き臭などを抑制する「除菌」コースも搭載しています。
金属イオンによる除菌効果で洗濯物を除菌します。除菌キャップの交換目安は7年
14kgタイプの全自動洗濯機も登場
「XD」シリーズと同日に、洗濯・脱水容量14kgの「JW-GD140A」も発表されました。こちらは、グローバル市場を意識したデザインを採用しています。
サイズは650(幅)×668(奧行)×1,075(高さ)mm。市場想定価格は12万円前後(税込)で、2024年10月下旬発売予定
「JW-GD140A」も「スクラブ自動槽洗浄」や「高濃度スパイラル洗浄EX」、低騒音のDDインバーターモーターを搭載していますが、自動投入機能は液体洗剤のみの仕様。柔軟剤は手動で計量して投入します。
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