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AV家電 開放型でノイキャン搭載の新型「AirPods 4」をレビュー! ANCなしバージョンとの比較も

アップルから完全ワイヤレスイヤホンの最新モデル「AirPods 4」シリーズが発売された。

あえて「AirPods 4」シリーズと書いたのは、アクティブノイズキャンセリング機能搭載の「AirPods 4 アクティブノイズキャンセリング搭載モデル」(アップルストア価格は税込29,800円、以下「AirPods 4 ANC」)、アクティブノイズキャンセリング機能のない「AirPods 4」(同税込21,800円、以下「AirPods 4 ANCなし」)があるためだ。

いずれも「H2チップ」を搭載し、通話で利用できる“声の分離”や、ハンズフリーでの“Siriへの応答”、USB-C充電対応などは共通。ユーザーからの注目度が高いのは開放型の完全ワイヤレスイヤホンでありながらアクティブノイズキャンセリングを搭載した「AirPods 4 ANC」だと思うが、「AirPods 4 ANCなし」も「AirPods」シリーズでは最も安価なモデルとして注目だ。この2機種の間でどれほどの違いがあるのか、さっそく2製品の実機を用意して比べてみることにした。

「AirPods 4 ANC」(写真左)と「AirPods 4 ANCなし」(写真右)

また、カナル型(密閉型)の「AirPods Pro 2」との違いが気になる人も多いだろう。「AirPods Pro 2」(テストで使用したのはLightning版だが、音質やノイズキャンセリング性能はUSB-C版と同じなので、便宜上この名前で呼ぶ)との比較も合わせて掲載しているので、ぜひ参考にしてほしい。

デザインと装着感はどう変わった?

まず、「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」の2機種のデザインや装着感からチェックしていこう。

「AirPods 4 ANC」と「AirPods 4 ANCなし」のイヤホン本体のデザインは共通で、外形上の違いはまったくない。技術的にはアクティブノイズキャンセリング機能で使用しているマイクの有無があるが、イヤホン本体の外見上のデザインには反映されていないようだ。

「AirPods 4 ANC」(写真左)と「AirPods 4 ANCなし」(写真右)。イヤホン本体のデザインは共通だ

「AirPods 4 ANC」(写真左)と「AirPods 4 ANCなし」(写真右)。イヤホン本体のデザインは共通だ

形状は2016年発売の初代モデルから続くスティック(軸)が伸びたタイプ。開放型構造でイヤーチップがなく、耳の溝に引っ掛けるように装着するスタイルもこれまで同様だ。ユーザーの耳の形状にもよるが、僕が装着した限りではしっかりとフィットしてくれて、耳からイヤホン本体が落下する心配もなかった。耳の内側に過度に密着しないので、長時間装着していても快適だ。

「AirPods 4」を装着したところ。耳からの飛び出しが少なく、見た目もスマート

「AirPods 4」を装着したところ。耳からの飛び出しが少なく、見た目もスマート

ちなみに、従来の「AirPods 3」と比べるとスティック部が若干短くなっている。違いはわずかではあるが、「AirPods」シリーズは愛用者も多く、街中で装着している人を見かけることも多いので、既存ユーザーなら気づく人も多いかもしれない。

付属の充電ケースはとてもコンパクト。手元で測ってみると約50×45mmで、指先につまんで持てるほどのサイズ感だ。従来の「AirPods 3」との違いとしては、ペアリング用ボタンが外見上なくなっている。ただ、ケース前面を2回タップすることで同じ機能を利用可能だ。

指でつまめるほどコンパクトな充電ケース

指でつまめるほどコンパクトな充電ケース

なお、「AirPods 4 ANC」と「AirPods 4 ANCなし」では充電ケースに違いがある。「AirPods 4 ANC」は“探す”機能に対応しているため、充電ケースに位置を知らせるためのスピーカーが内蔵されている。また、充電ケースのワイヤレス充電対応も「AirPods 4 ANC」のみとなっている。「AirPods 4 ANCなし」は充電ケースにスピーカーがなく“探す”機能が使えないこと、ワイヤレス充電に非対応という点は違いとして押さえておこう。

「AirPods 4 ANC」(写真左)の充電ケースの底面には、“探す”機能で使えるスピーカーが内蔵されている

「AirPods 4 ANC」(写真左)の充電ケースの底面には、“探す”機能で使えるスピーカーが内蔵されている

「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」ともに充電用端子はUSB-Cとなった。バッテリー性能はイヤホン単体で約5時間(ANC有効時は4時間)、充電ケース込みでは30時間(ANC有効時は20時間)の音楽再生が可能だ。

ここからは「iPhone」シリーズと接続した際のUIについても軽く触れておこう。すでにおなじみの機能ではあるが、アップル製品である「iPhone」シリーズとの接続はやはりスムーズだ。「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」ともに「iPhone」の近くで充電ケースのフタを開けるだけで「iPhone」の画面に自動的にポップアップが現れ、あとは画面の接続をタップするだけでペアリングが完了する。設定アプリもiOSのUIに統合されており、カスタマイズもしやすい。このスムーズで一体化された操作体験は「AirPods」ならではの魅力だ。

「AirPods」でおなじみのポップアップ表示

「AirPods」でおなじみのポップアップ表示

iOSの設定に現れる専用項目から設定変更が可能。ちなみに、アクティブノイズキャンセリングを搭載した「AirPods 4 ANC」には“ノイズコントロール”の項目が用意されており、アクティブノイズキャンセリング機能のオン/オフ、外部音取り込み、適応型オーディオの4つのモードから選択できる

iOSの設定に現れる専用項目から設定変更が可能。ちなみに、アクティブノイズキャンセリングを搭載した「AirPods 4 ANC」には“ノイズコントロール”の項目が用意されており、アクティブノイズキャンセリング機能のオン/オフ、外部音取り込み、適応型オーディオの4つのモードから選択できる

「AirPods 4 ANC」のアクティブノイズキャンセリング機能の実力は?

「AirPods 4」シリーズの最注目機能と言えるのが、「AirPods 4 ANC」に搭載されたアクティブノイズキャンセリング機能だろう。

「AirPods 4 ANC」(と「AirPods 4 ANCなし」)は開放型のイヤホンであり、耳を完全に密閉しないため、装着していても周囲の音が自然と聞こえてくる。これは音楽リスニング中でも同じだ。そこにアクティブノイズキャンセリング機能が加わるとどういった変化が起こるのか。

実際に「AirPods 4 ANC」を装着、屋内環境で音楽を再生しない無音状態でテストしてみたが、屋内に設置したエアコンやファンの音、家の外を行き交う車の走行音などはちゃんと低減してくれている。屋外でも試してみたが、電車の騒音では中域あたりのガヤガヤしたような騒音の低減は比較的得意のようで、車の走行音などの響くような重低音、高域の音は若干残りやすいようだ。強力と言えるほどの効果ではないが、開放型イヤホンであることを考えると十分な効果は得られていると言ってよいだろう。

屋内ではエアコンやファンの音を低減してくれた

屋内ではエアコンやファンの音を低減してくれた

電車内に「AirPods 4 ANC」を持ち出してテストを実施

電車内に「AirPods 4 ANC」を持ち出してテストを実施

「AirPods 4 ANC」のアクティブノイズキャンセリング機能が「AirPods Pro 2」と比べてどれくらい違うのか気になる人も多いと思うので、同一条件で「AirPods 4 ANC」「AirPods Pro 2」を比べてみたが……やはり「AirPods Pro 2」のほうがノイズキャンセリングの性能は上だ。

「AirPods Pro 2」ではエアコンやファンの音などは無音近くまで低減されるが、「AirPods 4 ANC」は若干残り気味。電車内の騒音に対しては「AirPods 4 ANC」「AirPods Pro 2」ともに効き方は似ていて、すべての帯域をボリュームダウンしてくれるが、「AirPods 4 ANC」ではノイズキャンセリングの強度が足りずに重低音側の騒音が漏れ伝わってくる。アップルは製品ラインアップ上、「AirPods Pro 2」のアクティブノイズキャンセリング機能を“最大2倍のアクティブノイズキャンセリング”と呼んでいるので、順当な結果と言える。

ひとつ気になったのは「AirPods 4 ANC」は、アクティブノイズキャンセリング機能有効時にノイキャン特有の違和感があったこと。「AirPods Pro 2」よりも強く感じたので、ノイズキャンセリングの強度のわりに違和感が大きいと言える。「AirPods 4 ANC」にはノイズキャンセリングの強度を調整する機能はないが、動作モードを“適応型”にするとノイズキャンセリングの強度が弱まり違和感も小さくなるので、気になる人はこちらを活用してほしい。

「AirPods 4 ANC」の“外部音取り込み”モードについても触れておこう。「AirPods 4 ANC」にはアクティブノイズキャンセリング機能をオフにするモードも備わっているが、“外部音取り込み”モードはそれと比べても周囲の音をハッキリと把握することができる。“外部音取り込み”モードは「AirPods 4 ANCなし」には用意されていないので、周囲の音を取り込んで安全をしっかりと確保しながら利用するなら「AirPods 4 ANC」のほうが有利なのは間違いない。

街中で安全確保しながら使うなら「AirPods 4 ANC」のほうが有利

街中で安全確保しながら使うなら「AirPods 4 ANC」のほうが有利

「AirPods 4」シリーズの音質をじっくりチェック

ここからは「AirPods 4」シリーズの音質について詳しくチェックしていこう。

冒頭で「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」共通の特徴として「H2チップ」の搭載について触れたが、それ以外にも音質に直接関連する部分に手が入っている。具体的には、ドライバーユニットが「AirPods Pro 2」に近いものになり、アンプもハイダイナミックレンジなものに変更されたことで音質がアップグレードしたという。

ドライバーユニットやアンプを変更し、音質をブラッシュアップ

ドライバーユニットやアンプを変更し、音質をブラッシュアップ

「AirPods 4」シリーズの音質をさっそくチェックしてみた

「AirPods 4」シリーズの音質をさっそくチェックしてみた

まずは音質の詳しいレビューの前に「AirPods 4 ANC」と「AirPods 4 ANCなし」で音質に違いがあるのか聴き比べてみたが……「AirPods 4 ANC」のアクティブノイズキャンセリング機能をオフにして条件を揃えると、「AirPods 4 ANC」のほうがわずかに低音の躍動感が強く出て、中域も滑らかだった。ただ、全体的な音質の傾向は2モデルとも近いため、音質レビューでは「AirPods 4 ANC」を使っている。

さっそく「AirPods 4 ANC」のサウンドを聴き込んでみたが、「AirPods」の中でも最も攻めたサウンドに進化していた。「AirPods」のサウンドは“帯域は狭くてナローだが、ストレスなく聞けるナチュラルな音”というイメージが強かったが、「AirPods 4 ANC」ではむしろレンジの広さを前面に出したサウンドだ。

「Apple Music」のロスレス音源を中心に試聴

「Apple Music」のロスレス音源を中心に試聴

宇多田ヒカル『BADモード』を聞いてみると、まず気づくのはハイハットの音のキレのよさ。リズムを刻むこの音を不快感なく鳴らしてくれるところに進化を感じる。YOASOBI『アイドル』を聞いても、シンバルの再現性が見事だった。

そして、「AirPods 4 ANC」の音質を語るうえで欠かせないのが、パワフルかつ引き締まった、唸るようなベースの再現だろう。リズムのダイナミックな刻みがなんとも心地よい。あまりに低音が自然かつ強力で、開放型イヤホンであることを忘れてしまったほど。低音は「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」で若干異なるポイントではあるが、「AirPods 4 ANCなし」でも開放型とは思えないほどの低音をしっかり鳴らすことは変わらない。ボーカルの声は、「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」ともニュートラルで声を空間上に展開しながら抑揚までしっかりと再現してくれる。正直言って、この音質アップは予想以上だ。

「AirPods Pro 2」とも比較してみたが、中域の厚みは「AirPods Pro 2」が上、低域と高域は「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」が再現性も含めて上だった。中域が弱いのは開放型という構造も関係しているが、高域は特に再生する周波数レンジを伸ばしているようだ。

「AirPods 4 ANC」「AirPods 4 ANCなし」で感じたサウンドの不満点についても報告しておこう。音質レビューのところでも触れたが、シンバルなど金属音をしっかり再現するようになったが、いっぽうで歌声の質感の部分で若干歪みっぽく聞こえるところがあった。ただ、この部分の質が問われ始めるのは3万円オーバーのハイエンドの完全ワイヤレスイヤホン。「AirPods 4 ANC」は29,800円、「AirPods 4 ANCなし」に至っては21,800円という価格なので、それを考えれば価格に見合った音質は十分担保できていると思う。

なお、アクティブノイズキャンセリング機能を搭載した「AirPods 4 ANC」に関しては、動作モードの違いによる音質変化は非常に小さかった。オフを基準とした場合、“外部音取り込み”は高域が強めになり、“適応型”と“ノイズキャンセリングオン”は若干音の角が取れるようなイメージだ。とはいえ、差分は本当にわずかなので、ほとんどの人は音質の違いを意識せず使えるだろう。

このほか、新機能ではないが「AirPods 4 ANC」「AirPods ANCなし」ともDolby Atmosによる空間オーディオを楽しめる。音楽リスニング向けの機能と思われがちだが、動画配信ではステレオ配信の作品も含めて使えて効果は絶大。これらのエンタメ体験目的で「AirPods 4」シリーズを選ぶというのも十分アリだろう。

【まとめ】絶妙な値付けの「AirPods 4」シリーズ。本命は「AirPods 4 ANC」だが「AirPods 4 ANCなし」のコスパも悪くない

「AirPods 4」シリーズをじっくりテストしてみたが、「AirPods 3」から多方面にわたって性能が向上していることを実感できた。特に好印象だったのは、開放型の完全ワイヤレスイヤホンでありながら音質を着実にアップさせてきたところ。軽い着け心地で長時間でも快適に装着できること、「AirPods Pro 2」と比べて価格がお手ごろなのも魅力的だ。

「AirPods 4 ANC」と「AirPods 4 ANCなし」のどちらが買いかというと、やはりアクティブノイズキャンセリング機能で幅広いシーンで活用できる「AirPods 4 ANC」(29,800円)になるだろう。ただ、最近は周囲の音を低減させるアクティブノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンだけでなく、耳をふさがずに周囲の音を積極的に聞こえるようにするオープン型の完全ワイヤレスイヤホンも増えてきている。そんな文脈でとらえると、音質とアップル純正の機能が揃う「AirPods 4 ANCなし」(21,800円)のコスパも悪くないように思える。

もっとも「AirPods 4 ANC」を購入してシーンに応じて動作モードを切り替えれば、オープン型の完全ワイヤレスイヤホンでありながらアクティブノイズキャンセリング機能を搭載した完全ワイヤレスイヤホンとしても使えるわけで……買った後も後悔しないで使い続けるなら、おすすめは断然「AirPods 4 ANC」だ。

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