9月を迎えて夏の終わりも見えてきたが、依然として厳しい残暑が続いている。そんな時期の音楽リスニングや動画視聴のお供に、NTTソノリティ「nwm ONE」はいかがだろうか。実際に使ってみて、その快適さがあまりにもすばらしかったので、本稿ではその魅力を詳しくお伝えしようと思う。
NTTソノリティ「nwm ONE」
NTTソノリティから2024年7月18日に発売された「nwm ONE」は、耳をふさがないワイヤレスヘッドホンだ。
実物を見れば一目瞭然だが、開放型どころかヘッドホンのフレームと中心部以外はそのまま開いていて、装着者の耳もばっちり見えるほど。もちろん、周囲の音もそのまま耳に入ってくる。それでいて独自開発した「パーソナライズド・サウンド・ゾーン(PSZ)」技術によって、ヘッドホンから周囲に音が漏れることがないというのだから驚きだ。
開放型どころか完全に穴が空いている独特すぎる構造
見た目もコンセプトも技術も唯一無二の製品であるが、僕が「nwm ONE」で気に入ったところは、ヘッドホンの常識をあらゆる面で変えてくれる、幅広い意味での“快適さ”。周囲の音が聞こえるのはもちろん、夏場に装着しても耳がとにかく開放的で、どこか涼を感じさせてくれる。
最近は耳をふさがないオープンイヤー型のワイヤレスイヤホンが増えてきているが、「nwm ONE」の開放感はそれらを上回る。ワイヤレスヘッドホンであるがゆえ、フレーム構造、イヤーパッドが存在するからこそ、この圧倒的な開放感がたまらなく快適すぎるのだ。
「nwm ONE」は蒸れないし、風が耳に直接当たるので涼しい
前置きはこれくらいとして、記事前半は僕も予想以上に気に入ってしまった「nwm ONE」の音漏れや音質などのワイヤレスヘッドホンらしい機能性、記事の後半では僕なりの活用シーンを紹介したいと思う。
予想以上に普通のヘッドホンらしい音質。音漏れもほぼ気にならないレベル
最初に「nwm ONE」の基本仕様をおさらいしておこう。
「nwm ONE」はBluetooth接続対応のワイヤレスヘッドホンで、コーデックはSBC/AAC/LC3に対応。マルチポイント接続も利用可能だ。なお、USBケーブルを使ってパソコンと直結するとUSBオーディオ機器として認識され、そのまま有線ヘッドホンとしても使用できる。バッテリー駆動時間は最大20時間で、5分充電で1時間再生可能な急速充電にも対応している。
見た目もシンプルでスタイリッシュなデザイン
今回はBluetoothヘッドホンとしての使い方を想定し、スマホとの組み合わせを中心にテストを行った。テストに用いた「Xperia 1 IV」はLEオーディオでつながるようで、スマホ側の音量操作がうまく動作しなかったが、「nwm ONE」側の音量操作は有効だったので、今回はこちらで音量操作を行っている。
スマホ側で音量操作が働かない場合はヘッドホン側のボタンで操作が可能
まずは装着感から。「nwm ONE」はヘッドホンからハウジング部分をくり抜いたような形状ということもあり、シリコン素材を用いたイヤーパッドは耳のまわりを覆う細いフレーム部分にのみ配置されている。肌と直接触れる面積は小さく、頭部の締めつけ(側圧)もそれほどきつくない。ヘッドホン自体の重量も約185gとかなり軽量で、ヘッドホンを構成するあらゆる要素が快適さに振り切っている印象を受ける。ヘッドホンスタイルで装着感をある程度担保しつつも、オープンイヤー型ならではの解放感を生み出している理由はこのあたりにありそうだ。
「nwm ONE」を装着したところ。耳元が完全にオープンだ
続いて「nwm ONE」の音質をチェック。「nwm ONE」は、12mmのツイータードライバーと35mmのウーハードライバーが同軸で配置されており、そこから音が再生される。ここから流れるサウンドは……驚くほどに普通のヘッドホンらしい音。オープンイヤー型の製品で想像してしまうスカスカの低音とは真逆、厚みある中域とリッチな重低音を得意としているようだ。
同軸配置された2Wayドライバーから音が再生される
ダイアナ・クラール『夢のカリフォルニア』を聞くと、ウッドベースのゆったりとした音が耳の周囲に広がり、女性ボーカルも音空間に自然と浮かぶ。YAOSOBI『アイドル』も、低音域の量感だけでなく、歌声はしっかりと音が分離して聞こえ、高域の再現も繊細だ。
スマホからの音楽再生では予想外(?)に自然なサウンド
ヘッドホンの世界には「開放型ヘッドホン」というのがあるが、「nwm ONE」もよく聞き込んでみるとサウンド傾向はそれに近い。個々の音の粒立ちがよく、ストレートに耳に届く。これはイヤーパッド内の音の反響による影響を受けないためだ。
なお、サウンドバランスは専用アプリ「nwm Connect」からプリセット切り替えやイコライザー調整を活用してカスタマイズできる。デフォルトのプリセット「Balanced」がよくできたサウンドだが、好みや周囲の音との兼ね合いで調整してもよいだろう。
「nwm Connect」アプリ。5バンドのイコライザー調整などが行える
ちなみに、「nwm ONE」は耳のまわりがオープンということもあって、音楽リスニング中も周囲の音が自然と耳に入ってくる。どれだけ周囲の音が聞こえるかは再生ボリューム次第ではあるが、聴力が衰えていない人であれば、かなり大ボリュームで聞いても物音や人の声にすぐに気づいて反応できるはずだ。
最後は音漏れについて確認してみた。家族に協力してもらい、「nwm ONE」からの音漏れ具合を実際に確認してみたのだが、通常の音楽リスニング程度で音楽が流れている状態なら、装着者の脇に立っているぐらいであれば音漏れはほぼ感じられなかった。さすがに「nwm ONE」の真横あたりまで耳を近づけると音漏れはしているようだが、音が漏れるかどうかは再生ボリューム次第といったところ。感覚的な音漏れ具合としては、再生中のボリュームの1/10程度といったところか。
「nwm ONE」の音漏れの圧倒的な少なさは、文章による説明よりも実物を使った体験の衝撃が勝ると思うので、店頭などでデモを体験できるコーナーがあったらぜひ体験してみてほしい。
音漏れをテストしてみると……想像以上に周囲に音が漏れない
自宅での普段使い&ビデオ会議に超便利。屋外利用も十分アリ
「nwm ONE」の特徴がわかったところで、ここからは「nwm ONE」ならではの活用シーンを紹介していこう。
まず、真っ先に推したい利用シーンが自宅での作業中だ。僕もスマホやPCで音楽を聴く、動画を視聴する際に「nwm ONE」が大活躍してくれた。
実はいちばん「nwm ONE」を活用していたのが、自宅のPC前で仕事をしているとき
自宅は音楽にせよ動画にせよ最も集中して楽しめるシーンのようにも思えるが、日中は宅配便のインターホンが鳴ることもあるし、家族に声をかけられたときに反応できるようにしておきたいなど、時間帯によっては意外と周囲の音が聞こえたほうが都合がいいことも多い。そんなときに「nwm ONE」を選びたくなるワケだ。
もうひとつ推したいのがビデオ会議のシーンだ。というのも、「nwm ONE」のマイクにはNTTコンピュータ&データサイエンス研究所が開発した周囲の雑音を取り除いて声だけにフォーカスする特許技術「Magic Focus Voice」が搭載されており、マイクのクオリティがかなり高いのだ。実際にビデオ会議で「nwm ONE」を活用してみたが、隣の部屋から聞こえるテレビ音声をまったく拾うことなく、発話者の声だけをクリアに届けてくれた。イヤホンのように耳穴をふさぐストレスもないし、バッテリー駆動時間最大約20時間は丸一日会議漬けという際にも心強い。
ビデオ会議用のヘッドセットとしても実用性大
それから、「nwm ONE」は屋外でも大いに活用できることも確認できた。オーディオ製品を屋外で安心・安全に利用するには“周囲の音がちゃんと聞こえる”ことが求められるが、そもそも耳のまわりがオープンな「nwm ONE」はこの点は問題なくクリアできる。路上を散歩しながら音楽やニュース系動画で情報収集するといった使い方はもちろん、音漏れが少ない「nwm ONE」なら電車内に持ち込んで使うというのもアリだろう。
「nwm ONE」を電車内に持ち込んで使ってみた
「nwm ONE」にはノイズキャンセリング機能はないし、構造上、周囲の音はすべて耳に入ってきてしまうものの、それはそれで開放的な音楽リスニング体験として快適だった。周囲の騒音にかき消されないようにボリュームを上げる必要があるので、音漏れが気になってしまうという人もいるだろうが、屋外では周囲の人たちも同じ騒音下にいるので、一般的なボリュームの範囲内で音楽を楽しんでいる限りは、「nwm ONE」のわずかな音漏れが周囲の人に聞こえてしまうことはまずない。とはいえ、日本人の気質として「万が一音漏れしていて迷惑をかけてしまったら……」と気になって仕方がないという人もいるだろう。そういった人は、再生ボリュームを若干控えめにして運用するのがベターかもしれない。
【まとめ】「nwm ONE」はヘッドホンの快適さ革命かもしれない
以上が僕の「nwm ONE」を実際に使った体験談だ。まずコンセプトから個性的な製品ではあるが、音質や機能性などヘッドホンとして普通によくできているし、実際に使い始めてみると、日常のさまざまなシーンで「nwm ONE」が欲しくなるシーンが次々と出てくる。
「nwm ONE」のように周囲の音と音楽を一緒に楽しめるアイテムとしては骨伝導イヤホンやオープンイヤー型ワイヤレスイヤホンも選択肢に入るが、「nwm ONE」の面白さは“ヘッドホンである”こと、これに尽きると思う。イヤホンではない選択肢が生まれたこと、そして”ヘッドホン=どこかストレスフルなもの”という先入観から生まれるギャップ込みで、期待値以上なのだ。
音漏れを防ぐ「パーソナライズド・サウンド・ゾーン(PSZ)」技術もNTTのグループ会社であるNTTソノリティならではの技術だし、類似する製品はそうすぐには登場しないだろう。そうしたオンリーワンの要素も含めて、気になった人はぜひ手にとってみてほしい1台だ。
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