ソニーのゲーミングギアブランドの「INZONE(インゾーン)」から、ゲーミングモニターの新製品が発表されました。
今回新たに追加されるのは、リフレッシュレート480Hz、QHD 解像度(2,560×1,440ドット)の27インチ有機ELパネルを採用し、FPSゲームのコアゲーマーをターゲットにした超ハイエンドモデル「INZONE M10S」(以下、「M10S」)と、27インチ4K Mini LED液晶パネルを採用した「INZONE M9」(2022年発売)の後継となる「INZONE M9 II」(以下、「M9 II」)」の計2モデル。いずれも発売日は10月25日で、市場想定価格は「M10S」が175,000円前後、「M9 II」が132,000円前後となっています。
スペックはもちろん、機能やデザインも大きく変化した「M10S」と「M9 II」。実機の写真を交えながら、新製品の特徴を詳しく解説していきましょう。
27インチ有機ELパネルを採用した「INZONE M10S」(写真左)と27インチ4K Mini LED液晶パネルを採用した「INZONE M9 II」(写真右)
「M10S」は480Hz/0.03msの超ハイスペックモデル。本体デザインにも注目
“競技ゲーム業界の定義を塗り替えるレベルのクオリティとパフォーマンスを実現すること”をコンセプトに開発された「M10S」。「INZONE」ブランドのゲーミングモニターとして初めてQHD 解像度 (2,560 x 1,440)の27インチ有機ELパネルを搭載し、リフレッシュ レート480Hz 、応答速度0.03ms(GTG)、入力遅延2.0ms未満という業界トップクラスの動画クラリティと低遅延パフォーマンスを実現したモデルとなっています。
QHD解像度(2,560×1,440ドット)の27インチ有機ELパネルを搭載した「M10S」。リフレッシュレート480Hz、応答速度0.03ms(GTG)、入力遅延2.0ms未満という超ハイエンド仕様です
今年に入り、有機ELパネルを搭載し、リフレッシュレート480Hz、応答速度0.03ms(GTG)を実現したゲーミングモニターはいくつか発売されていますが、「M10S」が他社製品と大きく異なるのが、製品開発・仕様検討の段階からプロeスポーツチーム「Fnatic」のメンバーと議論を実施し、プロから絶対的な支持を得られる仕様へと落とし込んだこと。
そのなかでも「M10S」ならではの特徴と言えるのが「24.5インチモード」でしょう。27インチの画面サイズでありながら、FPSタイトルのトーナメント公式モニターで採用の多い24.5インチの画面サイズを再現できるという本機能。ピクセルバイピクセル表示になるため1332pと少々変則的な解像度にはなりますが、本モード有効時でもリフレッシュレート480Hz、応答速度0.03ms(GTG)、入力遅延2.0ms未満を実現できるそうです。ちなみに、表示位置はセンター表示とボトム表示の2種類から選択できます。
27インチの画面サイズの中に24.5インチの画面サイズを再現できる「24.5インチモード」。センター表示とボトム表示の2種類から選択可能です
また、「M10S」は、FPSゲームのコアゲーマーをターゲットにした製品ということもあり、FPSゲーム向けの画質モードとして「FPS Pro+モード」と「FPS Proモード」の2種類のモードを新たに搭載しているところもユニークなポイントです。
前者の「FPS Pro+モード」は「Fnatic」のメンバーとともにチューニングを実施したモード。FPSゲームでも特に「VALORANT」や「Overwatch 2」への最適化を狙っており、画面全体の色彩度を抑制しつつ、敵の輪郭色に用いられる特定色(赤・紫・黄色)の彩度のみを強調することで、スモークやガスで視界が遮られている際も敵が視認しやすくなっています。
後者の「FPS Proモード」は、TNパネル採用のゲーミングモニターの画質をシミュレートすることで、TNパネルのゲーミングモニターを愛用している人のスムーズな移行を狙ったモードです。TNパネルの特性に合わせ表示色域を狭め、色域カバー領域をやや赤側にシフトしたほか、TNパネル特有のバックライト光漏れによる黒浮きも再現できるよう細部まで追い込んだそうです。
FPSゲーム向けの画質モード「FPS Pro+ モード」「FPS Proモード」を搭載するのも「M10S」の大きな特徴。SDR/HDR問わず、ユーザーが画質調整のパラメーターを細かくカスタマイズできるようになっており、プレイするタイトルに合わせて画質を追い込めるようになったのも新モデルならではの進化点です
スペックや機能ばかりに目が行きがちですが、「M10S」はスタンドデザインも注目です。2022年に登場した「INZONE」初のゲーミングモニターは3本脚の特徴的なデザインを採用していましたが、今回登場する「M10S」は、「eスポーツ エルゴノミック デザイン スタンド」と呼ばれるまったく新しいデザインを採用。独自の重心構造により安定性と堅牢性を向上させ、丸形のスタンドベースと1本脚だけでモニターを支える構造に生まれ変わりました。
「M10S」を真横から見たところ。“脚1本で本当に大丈夫?”と思うかもしれませんが、独自の重心構造のおかけで、かなり力を入れて動かさない限りはびくともしません
丸形スタンドベースは直径わずか159mmと非常にコンパクトな設計になっており、モニター周辺にキーボードや大型のゲーミングマウスパッドを自由にレイアウト可能。丸形スタンドベースの厚みが多くのゲーミングマウスパッドと共通の4mm厚というところもうれしいポイントです。
丸形スタンドベースの厚みをゲーミングマウスパッドに多い4mm厚にすることで、段差のないシームレスな設置が可能になっています
しかも、これだけ省スペースなスタンドにもかかわらず、ディスプレイの高さ(120mm)、チルト(-5度~25度)、スイベル(±180度)を調整できるなど、カスタマイズ機能もかなり充実しています。コアゲーマーの中には、プレイスタイルに合わせて標準スタンドを使わずにモニターアームを導入するという人も多いですが、「M10S」なら標準スタンドでも幅広いプレイスタイルに対応できそうです。
なお、「M10S」は有機ELパネルの薄さを生かしたデザインに仕上げたこともあり、スピーカーは非搭載となっています。FPSゲームのコアゲーマーであればゲーミングヘッドセットでプレイするという人が大半なので特に影響はないかと思いますが、「M10S」の導入を検討している人は念のため注意しておきましょう。そのほかの細かい仕様は以下のとおりです。
「M10S」の主な仕様
「BRAVIA」で培った最新技術を多数導入し、画質と速さに磨きをかけた「M9 II」
27インチ4K Mini LED液晶パネルを採用した「M9 II」は、FPSだけでなく、アクションやRPGなど幅広いゲームジャンルを普段からプレイし、ゲーミングモニターに画質を求めるエンジョイゲーマーをターゲットにしたモデルになります。
27インチ4K Mini LED液晶パネルを採用した「M9 II」
直下型LED部分駆動を採用、「DisplayHDR600」に対応、最大表示色10.7億、DCI-P3カバー率95%など、スペックだけを見ると従来モデルの「M9」からあまり変化がないようにも見えますが、薄型テレビ「BRAVIA」で培った最新技術を多数導入し、画質や速度性能が引き上げられています。
たとえばMini LEDバックライトに関しては、バックライトの数やエリア駆動の分割数は「M9」と同様ですが、LED部分駆動を従来よりもダイナミックな制御に切り替えることで、より高コントラストで奥行き感のある映像を実現。また、動きの速いゲームにおける動画クラリティを向上させるため、液晶パネルのリフレッシュレートを160Hzに引き上げたほか、液晶テレビの残像低減にも用いられている独自のバックライトスキャニング技術を用いた「モーションブラーリダクション機能」を導入。フレーム遷移時に発生するモーションブラー(動きボケ)を画面全体で低減させたそうです。
バックライト制御による疑似インパルス表示で残像間を低減させる「モーションブラーリダクション機能」も、液晶テレビ「BRAVIA」で培った技術です
機能面では、同時発表された「M10S」同様、27インチの画面サイズに24.5インチの画面を再現できる「24.5インチモード」を搭載。画質モードに関しても、「RPG」や「MOBA/RTS」など新規モードが6つ追加されました。たとえば「RPG」では自然な色強調で空の青色や草木の緑色などの再現性を高めてゲーム世界への没入感を高めるとともに、字幕をより見やすく再現するチューニングを施しているそうです。
「M9 II」の画質モード。SDR信号時の画質モードには「MOBA/RTS」「RPG」「sRGB」が、HDR信号時の画質モードには「Cinema」「Game」「RPG」が追加されました
ちなみに、「M9 II」もスタンドデザインが「M10S」同様に変更されており、見た目も「M10S」に近いものに仕上がっていますが、独自の重心構造は採用されておらず、外装素材も若干異なります。とはいえ、ディスプレイの高さ(130mm)、チルト(-5度~25度)、スイベル(±180度)調整機能はしっかりと搭載されているので、使い勝手の面で大きな不満はなさそうです。
「M9 II」を真横から見たところ。丸形のスタンドベースを採用しているところは「M10S」と同じですが、モニター自体の自重があるため、「M10S」に比べるとスタンドは若干太めです
このほか、「M10S」と異なり、「M9 II」では合計出力2Wのスピーカーも内蔵されています。合計出力自体は従来モデルの「M9」と同じですが、スピーカーユニットを刷新し、チューニングを一から見直すことで音質も大きく向上したそうです。そのほかの仕様は以下のとおり。
「M9 II」の主な仕様
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